羽×思い出=かなしみ
昨夜、YouTubeで唄人羽(うたいびとはね)の動画をしこたま観た。
中学三年の頃、同じ下宿にいた福岡出身の高校生に教えてもらって出会ったストリート出身の二人組。
彼らの曲はまったく難しいことを言わない。だから洋楽好きだった思春期のぼくの心にも届いた。以前書くのを忘れてたけど彼らにもかなりハマったんだ。
それでストリートライブでも彼らの曲をカヴァーした。
『小さな星の小さな旅人』とか『花サク』とかとか。〈音遊記〉ぐらいまでのアルバムの曲はほとんど一回は路上でやったんじゃないかと思う。
ぼくらがやってた田舎ではライバル自体が少なかったんだけど、その数少ないライバルはゆずのカヴァーが多かった。もしくはお金を稼ぐことを目的に古いフォークソングをやる人もいた。
そんな中で〈はね〉をやることは単純に「俺らは他と違うぜ」っていうのもあって楽しかったんだけど、やっぱりパッと食いつく人はゆずやフォークソングの曲をやってる人たちのところが多かった。
だから僕らは自分たちのオリジナル曲と同等かそれ以上に「届けよう」と思って〈はね〉の曲を演奏した。
中には「いいね」って言ってくれる人もいて、自分たちの曲でもないのにすごく嬉しかったことをよく憶えている。
なんだったっけ、そう、動画を観ながら当時のことを思い出したんだ。
ぼくらコンビの最期はクソみたいな最期だったけれど、思い出というものは時間が経つにつれバカみたいに美化されて輝いてしまう。なんだかかなしい。