音楽に関する思い出 その2
前回の続き。
はっぴいえんどは曲の完成度、実験性、歌詞のクオリティ、すべてがぼくの琴線にふれた。発表当時の日本の音楽事情なんかを知ると余計にかっこよくみえてグッとくる。
有名な「風をあつめて」だけじゃなく、「かくれんぼ」「あやか市の動物園」「暗闇坂むささび変化」「夏なんです」「氷雨月のスケッチ」などなどなどなど。上げたらキリがないぐらいいい曲が多い。
ぼくは特に松本隆さんが描く歌詞の世界にのめり込んだ。
基本的にロックというのは欧米の文化圏ものなので、やっぱり英語の方がしっくりくるというのは今も変わらない。そこに日本語を当て込むには、音楽に負けない力があって強い言葉を本当にきれいにはめ込んでいくか、なに言ってるかわからないぐらいぐちゃぐちゃにしてしまうかのどちらかだと思う。
松本さんは大瀧さんや細野さんが作る曲に負けないシンプルで強さのある言葉をしなやかに使いこなしてる。だからこそ〈日本語ロック〉というものが成立しているのではないかと思う。
バンド解散後に職業作詞家として関わったアイドルの歌の歌詞でも、そのしなやかさやシンプルな言葉選びが発揮されてて、アイドルソングなのに聴いてて苦じゃない。
はっぴいえんどに出会って、これまでの邦楽に対する姿勢を悔いた。その頃はポップス寄りのバンドの音楽はほとんど聴いてなくて、そのくせ「きっと退屈だろう」と思ってた。まったく本当にどうしようもなく生意気なガキだ。
また続く。