水を撒いてくれ!

とりとめない思考の垂れ流し、または備忘録

終点の町

むう、旅行から帰ってからどうも体調がすぐれない。まあいいや、以前(およそ9年前)住んでいた町の話をしようと思う。

 

その町は、とある百万都市の端っこにある。都会と田舎のちょうど真ん中あたりにあって、地下鉄の終点であり、そこからは隣県に向かうJRになる。ぼくは電車が地下から地上に上がる瞬間が好きだった。

その電車に乗って久しぶりにやってきた町は、以前とあまり変わっていなかった。駅前の風景やバス乗り場なんかも当時と同じようだった。

変わっていたのは駅の周辺に小洒落たコーヒーショップができていたことと、悲しいことに前の職場の近くにあった本屋さんがコンビニになっていたことぐらいか。とにかく記憶にある懐かしい町とそこまで違ってはいなかった。

 

現在でも親交のある大切な友人に出会った思い出深い町だが、実は母が最期を迎えた場所でもある。

一緒に暮らした最後の期間、母とぼくはよくケンカもしたし、本を貸し借りしたり、一緒にテレビを見たり、概ね仲良く過ごせたと思う。そんな母が亡くなったのは、近いうちに母の実家のある町に顔を見せに帰ろうかと話していた矢先だった。当時の状況を思い出すと今でも胸が締め付けられるような思いがする。

 

そんな町を歩いた。胸の中には友人との思い出、そして母との思い出がじんわりとよみがえった。そのすべてが愛おしく感じるというのはあまりにクサすぎるか。でも半分以上本当だ。

でも、いいことも悪いこともあったなぁ、なんて感傷に浸る余裕がないくらい暑かったんだけどね(笑)